低濃度アトロピン(マイオピン)
近視の進行予防法のひとつに、低濃度アトロピン点眼液(マイオピン)があります。
マイオピン治療は毎晩目薬を1滴点眼するだけで、近視の進行を予防することが可能になる治療法です。
また、他のオルソケラトロジーなどの他の近視進行予防効果のある治療と併用することが可能です。
目薬の治療なので、他の治療法が難しい方でも使用しやすい特徴があります。
マイオピンは「毎晩目薬を1滴点眼するだけ」の近視進行を予防する治療法です。
1.このような方にお勧めです
・お子様の近視の進行をできるだけ少なくしたい方
・オルソケラトロジーレンズなどの治療法と併用したい方
・オルソケラトロジーなどの他の治療法ができない方
2.治療スケジュール
(1) マイオピン点眼の適応があるか検査をします。
(2) マイオピン点眼を開始して毎晩1滴点眼をします
(3) 1週間後に受診し、副作用などがないか確認します。
(4) その後は、3~6か月に1回の定期検査を推奨しています。
3.以下に治療のポイントを示します
子どもの近視は、眼球の長さ(眼軸長)が伸びることで進行します。 眼軸長は身長と同じように一度伸びてしまったら縮むことはありません。 そのため、一度進行した近視は元に戻らないので、近視を進ませない (眼軸長を伸ばさない)ことが重要になります。 マイオピン点眼は眼軸長の伸びをおさえる効果があるとされています。
マイオピン点眼は、シンガポールでの臨床試験で近視進行抑制効果が確認されています(Ophthalmology2012;119(2):347-54)。
治療の対象は6歳から12歳です。 13歳以上でも効果はありますが、できるだけ早期から 治療を開始した方が効果もでやすいとされています。 マイオピン治療は国内では認可されておらず(現在臨床治験実施中)、 保険診療ではなく自費診療になります (詳しくはQ&Aの治療費用はどのくらいですか?をご参照ください)。
4.マイオピン治療について、皆様から寄せられるご質問を以下にまとめています
Q:健康保険でマイオピン治療を受けることはできますか?
マイオピン点眼は健康保険の対象外のため、自費診療になります。
Q:治療費用はどのくらいですか?
マイオピン点眼は自費診療になります。
そのため、治療を受ける医療機関により
費用が異なります。
当院の費用は以下のとおりです(全て税込)。
・0.01%マイオピン:46,000円/12本セット
・0.025%マイオピン:50,600円/12本セット
・2024年5月20日より価格改定しています。
・シンガポールからの輸入品のため、在庫がない場合は納期に多少お時間がかかる場合があります。
Q:マイオピン治療はだれでも行うことができますか?
治療の対象となるのは以下のとおりです。
・6~12歳で、最低2年は治療継続できる方(最長18~20歳程度まで治療継続可能です)
・定期的な通院が可能な方
Q:マイオピン治療をすると近視が治りますか?
近視を治すことはできません。 マイオピンは近視の進行を軽減させる治療です。 また、近視の進行が完全に止まる訳でもありません。 近視の進行予防効果は20~40%程度とされていますが、 効果には個人差があります。
Q:承認されていない薬ですが安全ですか?
国際的な基準であるGMP (Good Manufacturing Practice: 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準) に準拠したシンガポールの工場で生産されています。 また、濃度は異なりますが、国内で認可されている1% アトロピン点眼薬と薬効成分は同一です。 実際の安全性に関しても、国内外の多数の研究で大きな問題はないとされています。
Q:目薬の回数は何回ですか?
両眼に1日1回だけ就寝前に点眼してください。
Q:この治療に短所はありますか?
アトロピン(マイオピンの薬効成分)は瞳孔を広げる作用が
あります
。1%アトロピン点眼薬は、国内で承認・販売されていますが、
1週間程度瞳孔が広がったままになったり、
手元が見にくくなるなどの副作用が強く、
近視予防には使用できません。
マイオピン点眼は国内で承認・販売されている
1%アトロピン点眼液と比べて濃度は1/100(0.01%)
または1/40(0.025%)で、副作用がかなり抑えられています。
なお、副作用のほとんどは点眼後7~8時間程度でなくなる
ため、就寝前だけ点眼するようにしてください。
・日中に若干まぶしさを感じることがあります
・手元が若干見にくくなることがあります
・重篤な副作用はないとされています
Q:クリニックの診療時間内であればいつ受診してもいいのですか?
マイオピン点眼治療のみをご希望の方は、予約は不要です。来院時に受付で「マイオピン治療希望」とお伝えください。
※オルソケラトロジーとの併用をご希望の方は、予約が必要です。
詳しくはオルソケラトロジーのQ&Aをご覧ください。
Q:1本の目薬でどのくらいの期間使用できますか?
目薬1本で1か月が目安です。 開封して時間がたつと、目薬の容器の中で 細菌が繁殖することにより、合併症の危険性が 高くなるためです。 この目安はマイオピン点眼薬だけでなく、 他の一般の目薬も同様です。
Q:通院の頻度はどのくらいですか?
副作用の確認のために1週間目に 受診してください。 その後は、3~6か月に1回程度の通院を お勧めしています。
Q:副作用等がおきた場合の治療はどのようになりますか?
副作用がおきた場合は、マイオピン治療を 中断する可能性があります。 定期検診で合併症や他の病気が見つかる場合も あるため、定期検査時には必ず健康保険証 や医療証を持参してください。 いつから治療を再開するかなどは医師と相談してください。
Q:たまたまマイオピン点眼を忘れて寝てしまいました。 翌朝、起きてから点眼した方がよいですか?